宮崎の観光資源を活かすために – デービッド・アトキンソン氏講演録

宮崎のインバウンド

2017年3月に宮崎市内で開催されたデービッド・アトキンソン氏の講演をまとめました。

デービッド・アトキンソンについて

デービッド・アトキンソン(David Atkinson)は、在日のイギリス人経営者の方です。ソロモンブラザーズやゴールマンサックスでのアナリストをバックグラウンドに持ち、日本における観光や文化財の活用、経済政策など提言する専門家として活動しています。小西美術工藝社の社長や三田証券株式会社の社外取締役など、日本国内企業の役員も歴任しています。

本講演の参考書籍

新・観光立国論

本講演に近い観光業への提言がまとめられています。この記事で興味を持った方はご一読をオススメします(デービッド氏の著書はどれもハズレがない印象)

はじめに

講演前にデービッド氏は宮崎県内の観光地を見てまわった。
宮崎はもともと昭和40年代に新婚旅行ブームで観光が賑わっていた場所。その名残も確認できた。
しかし、今やブームが去り数十年経った状況。良い時は良いが、下がった時にどうするべきかを考えるべき。
観光関係者だけでなく、宮崎県民・市民に理解を得ながら進めるのが良いのではないかと感じた。

“4つの条件”を満たす国、日本

日本は観光において重要な4つのポイントを満たしている稀有な国であるとのこと。

  1. 自然
  2. 気候
  3. 文化
  4. 食事

ポイントは「多様性」

世界でも有数の観光立国はフランス。
例えば、フランスはスキーリゾートがあるだけで1,200万の観光客が訪れる。

日本は入れ替えをしない文化である。これは観光の観点で大きなポイント。
例えば、日本では神道を残したまま、仏教の文化も取り入れている。つまり日本は「足し算の文化」であるといえる。

こんな文化背景や観光の諸条件を満たす国は、世界をみても10カ国程度しかない

日本の観光における”不十分条件”

日本は以下の3つが観光における課題だと指摘。

  1. おもてなし
  2. 治安
  3. 公共交通機関のダイヤの正確さ

「おもてなし」は観光客目線ではない

「おもてなし」はあくまで日本人目線の話であり、観光客目線では気にしないもの。(世界のおもてなしランキングで旅行する人はいない!)

フランスはおもてなしが世界最悪レベルとのこと。それでも8,400万の観光客がフランスを訪れる。

治安が悪くなると治安の良い国に行くか?

例えば、9.11の後に、アメリカ人が海外に出たか?そんなことはなかった。

ダイヤが正確だと観光に来るのか?

14時間、30万円をかけて時間の正確さを確認しに来る人はいない

大事なのは市場との対話

自国目線で強みと思っているものは必ずしも顧客志向ではない。
観光客は、「体験したい」「自然が見たい」といった、観光に来るだけの契機がある。
重要なのは、そういった観光客が何を求めているのかを知る“市場との対話”

そもそも、なぜ観光が日本にとって大事なのか?

データで裏付けられる4つの理由がある。

  1. 世界のGDPの9%は観光業が担っている
  2. 雇用の11人に1人は観光業に従事
  3. サービス業の中でも、輸出額の30%は観光業
  4. 2014年時点で、11億3300万人が「国際観光客」である ※18世紀から伸び続けている

世界トップ3の産業はエネルギー、医療、観光である。

観光客数のトップはフランス、アメリカ、スペインなど。日本は18位に位置。

ちなみに、日本の観光収入は対GDP比でみるとたったの「0.41%」。
同じ指標での世界ランキングは129カ国中126位と実質最下位!(伸び代しかない!)

日本に訪れる観光客がアジアが最も多く、全体の80.7%を占める。しかし、近隣国からの観光客だと稼げない。「爆買い需要」が多めでそれ以外の需要がないから。

ターゲットは「欧州の”滞在型”観光客」

観光客が一回の旅行で使う予算のうち、49%がホテルと食事に使われている

そもそも数日間かけて旅ができる程度に一定の高所得層であること。
1~2週間の滞在を想定したときに、あらかじめ計画を練っていても「暇になる」ことが往々にして起きる。そこに向き合い観光コンテンツを提供する「暇つぶしのおつきあい」が最大のポイント!

例えば、ホテルについても種類、価格の多様性が求められる。所得層ごとに揃う総合力が大事。

“リゾート”について

ビーチリゾートやスキーリゾート、色々あるが世界トップ100のリゾートには、日本が出てこない。
実は日本はパウダースノーが世界一という高品質な雪を持っている
悲しいことに、「日本人は17時に悲しい音楽とともに帰宅し、カレーライスばかり食べる」という画一的な印象が広がっているため、リゾートに行く国としてのイメージが育っていない。

文化財を整備する必要性

解説・展示の充実をはかる

観光地に訪れた観光客が、そこにある展示物を理解できる状態にしてあげましょう。

例えば、竹とトラが書いてある屏風に「竹とトラが書いてある」と説明されてもなんのことか分からないよね…。それはなんなのか、という文脈を理解するための説明が必要。

観光客は基礎知識が無いということを想定して、「お子様が聞いても分かるように」説明を丁寧に行う必要がある。

定期的なメンテナンス

古すぎる展示物や観光地の状態は観光客目線だとマイナスな印象になる。定期的にメンテナンスを行い鮮度の高い状態を作っておく。

入場料の見直し

「高価値・高単価」の観点で値決めしましょう。滞在時間も値決めの大きなポイント。どうやって半日を一日にすることができるのか考えること。

最後に

日本の2030年の目標は「8,200万人の観光客」を取り込むこと。

日本には潜在能力がある。魅力的なものをまず磨くこと。そうすれば人が来る。また、ビジネスセンスが観光業に求められているため、楽しみを求めて来ている人が楽しめる国づくりこそ重要。

TVCMを大々的にうつだけでは意味がない!
72億人が住む地球で、ピンポイントで日本・観光地を全世界に発信しましょう。

(デービッド氏の思う)日本の一番の魅力は「自然」にある。

観光は人間行動であり、「やるかやらないか」。きっと難しくない!

そうすれば、観光立国宮崎県がきっとできるでしょう。

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林田 憲志朗(はやしだ けんしろう)

マーケター@リネットジャパングループ株式会社
EC・クラウドファンディング・ロボティクスなどの領域でデジタルマーケティングを経験。2021年5月より名古屋に移住。中部関西のマーケティングを盛り上げたいなと思ってます。

※発言は個人の見解です

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